2023年7月29日土曜日

ユキフクロウとの冒険

 

Crystal Doyle(アメリカ)

 

地元の猛禽類専門家で友人のデビッドは、ニューヨーク州ロチェスター近郊で25年間、猛禽類の捕獲、バンドリング(識別するためにバンドを付ける事)、放鳥を行ってきました。彼は特に、鮮やかな黄色の目を持ち、剛毛の羽毛に覆われたくちばしを持つ、驚くほど美しい白いフクロウであるユキフクロウの追跡調査や研究を支援することに関心を持っています。

ユキフクロウは北米に生息するフクロウの中で最も重く、大きいフクロウのひとつです。北極圏を繁殖地としていますが、若いユキフクロウはカナダやアメリカ北部へと南下します。北極圏の気候の変化により、その数は減少していると考えられています。

ある極寒の冬の日、デビッドはロチェスターの南30マイルにいる何羽かのユキフクロウの状態を確認するため、私を誘いました。ユキフクロウは、餌となる小さな哺乳類や鳥類を見つけやすい、農耕地のような広い場所を好みます。電柱の上に止まっていることもありますが、白い雪の塊やトウモロコシの株の横にじっと座っている姿を見つけるのは難しいのです。

 


冒険の旅へ

気温は華氏12度、摂氏マイナス11度と氷点下でした。分厚いブーツと手袋の中まで寒さが染み込んできましたが、南へ車を走らせると太陽は明るく照りつけます。約25分後、デビッドはフクロウを見つけました。

デビッドは白いトラックを近くの農家の車道に止め、ドアをノックしました。子供たちを後ろに引き連れた中年の女性がドアを開けました。デビッドはこれからユキフクロウに何をするのかを説明し、そして許可証を持っていることを話しました。

私たちが話している間、農場の大きな納屋の上部の窓から鳩が舞い降りてきました。「そうそう、あのフクロウはよく見かけるよ。フクロウは好きなだけハトを獲ったらいいさ!」と一人の男の子が言いました。そして、皆は、その男の子の言葉に対して、笑いました。

私たちが農家を出た後、デビッドは人道的なフクロウ・トラップ(フクロウの罠)を仕掛けました。それは、鳥を傷つけたり、ストレスを加えることなく、フクロウを捕獲するように作られた装置です。彼は私にこう指示しました: 「質問しない、邪魔しない」と。私は静かに体を小さくしていなければならないと思いました。

猛禽類の捕獲に同行するのは初めてのことで、私はわくわくしていました。私は以前から猛禽類、特にフクロウに強い興味を持っており、将来は(7年間の訓練期間を経て)研究のために猛禽類の捕獲と放鳥を手伝いたいと思っていました。

今日の経験は、私の人生の極めつけの体験のひとつとなるでしょう。

 

3羽のユキフクロウ 

その日最初のユキフクロウは、5分もしないうちに罠のすぐそばまで飛んできました。デビッドは彼に 「イージー 」というニック・ネームをつけました。

デビッドがフクロウ11羽にするように、私たちもイージーの体重を測定しました。フクロウは通常、メスのほうがやや大きく、オスのほうが白いのです。この日捕まえた3羽はすべてオスで、驚くほど白く、きれいな姿をしていました。

私はデビッドがイージーの重さを量るのを静かに手伝い、それからDNA検査と水銀やその他の汚染物質のチェックのためにラボ(研究所)に送る羽毛を23枚取り除きました。研究者がデータを比較できるように、私たちはフクロウの翼と尾を計測し、写真を撮りました。私たちは片足にバンドをつけ、そのバンドの番号を日誌に記録しました。

その後、デビッドから驚くべき申し出がありました。私たちが最初に捕獲したフクロウを、私が抱えて、放してみないか、というのです!

私は指示されたとおり、慎重にフクロウの脚に手を回しました。大きな爪が出ていましたが、フクロウは落ち着いていました。こうして抱えられると、フクロウはおとなしくなるのです。フクロウが逃げようとせず、私をつつかなかったのには驚きました。完全に静止し、威厳と静謐な美しさを醸し出していました。

私は毛むくじゃらの大きな足をしっかりと、しかし優しく掴みながら、HU(ヒュー)を優しく唱え、イージーを安心させるように話しかけました。「傷つけないよ」と私は言いました。私はイージーを放すと、イージーは真っ青な空へと羽ばたいていきました。

午後遅くなって、私たちは2羽目のフクロウを捕まえ、バンドをつけると、私はそれも放しました。少し勇気が湧いてきた私は、ウサギの毛皮のように柔らかな、フクロウの白く輝く胸毛を少し撫でてみました。私は2羽目のフクロウに言いました。あなたはソウル(魂)。あなたは神の子。あなたは永遠です。ソウル(魂)が存在するのは、神がソウル(魂)を愛しているから。デビッドは、フクロウたちが私と一緒にいるととても穏やかになると言いました。



フーディーニを待つ

その日最後の場所へ車を走らせると、太陽が丘に沈んでいきました。デビッドはフーディーニというニック・ネームをつけた、特定のフクロウを探していました。デビッドは過去に2度このフクロウの捕獲を試みたのですが、2度ともフーディーニはバンドを付けられることなく逃げてしまったのです。デビッドが 「あそこにいる!」とささやいた時、あたりはすっかり暗くなっていました。

彼は畑と森が両脇にあり、遠くに農場が見える場所に車を停めました。そして車を降り、罠を仕掛けました。私たちはトラックに座り、双眼鏡で目を凝らしました。デビッドがエンジンを切ると、気温はさらに下がりました。

私は、この生き物がいかに不毛で人を寄せ付けない土地に住んでいるかを考えました。夜の白い幻のようなユキフクロウは、北極圏の厳しい環境に完璧に馴染んでいます。私は自然の生息地が変化していくことを急に悲しく思いましたが、ユキフクロウが適応して生き残ることに希望を託しました。

私たちはフーディーニが現れるのを1時間待ちました。そしてついに、ちょっとユーモラスなことに、彼は優雅にトラップまで飛ぶのではなく、飛び跳ねてきました。私たちは彼を捕まえました!彼は私たちに捕まったことにかなり苛立っており、大きな音を立ててくちばしを何度も鳴らしました。

私たちはすべての計測とバンディングを終えました。フーディーニを空に返す時、デビッドは私に彼を解放させてくれました。 

フーディーニは私が抱くと落ち着きました。他のフクロウたちと同じように、私はHU(ヒュー)を唱え、彼にささやきました。そして私は「行く準備はできた?」と尋ねました。私は心と思考を開き、彼の答えに耳を傾けました。彼は私の方を向き、口笛を一吹きしました。

他のすべてが消え去り、この信じられないような生き物と私だけが存在しているように思えました。私がフーディーニをソウル(魂)として見ただけでなく、彼も私をソウル(魂)として見たのです。この内なるコミュニケーションに感動し、私の顔を涙が流れ落ちました。

数秒後、私はフーディーニを両手で持ち上げ、鳥を空中に押し上げました。彼は白い翼を70センチに広げ、静かに夜の中に飛び去って行きました。



スピリチュアルな自由

その後、ユキフクロウたちとの一日を振り返りながら、私はエッカンカーでの私のスピリチュアル・ガイドであるマハンタが、フクロウたちを解放する前に私がフクロウたちに伝えていた真実を、静かに私に囁いてくれていることに気づきました。:あなたはソウル(魂)であり、永遠の存在です。あなたはスピリチュアルな自由を有しています。

私自身の自由への羽ばたきを体験するには、エッカンカーで学んだスピリチュアル・エクササイズを実践し、毎日HU(ヒュー)を歌うとき、ただ耳を傾けることを忘れないようにするだけでいいのです。それは、より大きな幸福、より広い視野、そして光と音の無限の存在としての自分自身をより深く認識する自由なのです。

ユキフクロウを鳥としてだけでなく、知性的な意識を持つスピリチュアルな存在として見ることができたことに感謝しています。私はおそらく彼らに、異種間コミュニケーション、ソウル(魂)の永遠の本質への気づき、そして愛を体験させることができたのかもしれません。私の心は、雪のような翼の柔らかな感触をいつまでも忘れないでしょう。



英語版: Adventure with a Snowy Owl

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